行政書士試験の記述式問題は捨てるべきか?

ノウハウ

行政書士試験において記述式問題の勉強をどうするのか?という議論が常にあります。

このような議論になるのは、記述式問題の得点配分のためで。記述式問題の得点配分は60点、全体の得点は300点ですので、20%の割合となります。

もし、記述式の得点割合が50%ならば必須と言い切れますが、「20%だからなー(-ω-;)ウーン」という部分もあります。

記述式問題得点配分

さらに、行政書士試験は6割の180点を取れば合格です。

なので・・

2割なら捨てちゃえー(* ̄0 ̄) /

いやいや、2割は大きいでしょ(# ゚Д゚)/

といった感じで、意見が常に対立しています(;´Д`)困ったね

でも、私の考えとしてこんな不毛な議論は必要ないと思います。なぜならば単純に、

記述式問題の対策は必須‼

と考えているからです。そして、その理由は・・

・レベルアップになる
・効率がいい
・不安を払拭できる
・択一式の演習は記述式の演習とはならない

の4点にあると私は考えています。これを以下に説明していきます。

理由その一:レベルアップになる

行政書士試験の難易度は年々上がっていると言われています。中には司法試験の択一問題とレベルは変わらないという意見もあります。司法試験レベルかどうかは私には判断しかねますが、行政書士試験に求められる法律レベルは高いことは確かです。よって、法律力を高めるためのレベルアップ↗が必須となります。

そして、このレベルアップを図る手段として記述式の問題演習をするのが一番だと私は考えています。

なぜならば、法律学の本質は論理の流れを掴むことにあり、記述式問題はこの点を強化してくれるためです。

どういうことかというと、記述式問題を解く際に必要とされるのは「問題文から→考え→解答を導く」という手順が必要となります。

具体的事例を以下に挙げると、

未成年者が自分を成年者と偽り契約を結んだ、でも未成年者であることを理由に解約すると言い出した(問題文)

自ら成年者と偽るような悪質な未成年者を保護する必要はない(考え

解約できない(解答)

民法21条「詐術」を参照。

このように ”考え” る部分を強化することによって論理の流れを掴めます。論理の流れが掴めれば記述式を解きやすくなる他、択一式でも解答しやすくなります。知らないような問題が出題されたとしても論理の流れから解答を導けるのです。

ということで、この”考え” る部分を徹底的に磨き上げましょう。

ただ、択一式の問題演習も重要ですので、択一式と記述式を同時並行で勉強していきましょう。具体的には、択一式2:記述式1ぐらいの割合で勉強するといいです。

そして、択一式の問題と記述式の問題を行き来することで互いの理解が深まり全体の底上げとなります。

つまりは、レベルアップになるんだね

理由その二:効率がいい

次に、2つ目の理由として勉強効率の良さがあります。

私は別の記事、行政書士試験の商法・会社法は捨てるべきか?行政書士試験の一般知識問題を攻略する方法にて、商法と一般知識の勉強は必要最小限にすべきと述べています。その理由は、行政書士試験は行政法と民法に全力でコミットするのが一番効率がよく、商法や一般知識などに時間を費やす必要は無いからです。

そして、記述式の問題演習も勉強の効率を上げます。なぜかというと、記述式で出題されるような部分は重要な部分が多いからです。

正直、行政書士試験は勉強の範囲が広いです。すべてを網羅するとなるとかなりの時間がかかります。なので、重要な部分を中心にピックアップして優先的に勉強していく必要があります。ですが、「えーと、不法行為が重要だから先にやって、次は留置権かな?」とやっていくのは非常に煩わしい(;^ω^)ですよね。

そこで、記述式の問題演習をすることで、自然と重要ポイントを優先的に勉強することになり、勉強の効率を良くするのです。

理由その三:不安を払拭できる

そして3つ目の理由は、不安の払拭です。

行政書士試験の本番直前期になると、「記述式問題では、どのような分野から、どのような問題が出されるのだろう((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」と結構不安になってくるものです。

そして、この不安を払拭する方法はやはり、

問題演習しかないのだ!

結局のところ、やっているという事実だけが本番においての最大の武器となります。もし、記述式問題を1問も解くことなく本番に臨めば、不安という大きな精神的プレッシャーを抱えることになるので、いい結果に結びつきにくいのはいうまでもありません。

オリンピックに出るようなアスリートなどは「本番のプレッシャーをはねのけるのは日々の練習」といったことを発言していることが多いです。これも、やっているという事実が不安を払拭し、アスリートを支えているということになります。

ほかにも、記述式を捨てて本試験に臨むということは、300点満点から記述式の得点60点を引いた240点中180点を獲得して合格する作戦ということになります。

この作戦の成功には、正答率7割5分が必要となります。合格のための本来の正答率6割と比べるとかなり高いです。これは、ミスが許されないレベルともいえます。すると、要求される高い正答率がかなりのプレッシャーと不安になってしまいます。私ならばこの作戦は絶対に採りません。だって怖いですもん(;^ω^)

正答率を引き上げ、不安要素を増やすような真似はやめましょう。

以上より、不安となる要素はすべてクリアしておくほうが絶対にいいので、記述式を捨てるという選択肢は採らないということになります。

理由その四:択一式の演習は記述式の演習とはならない

最後の4つ目の理由としては、択一式の演習は記述式の演習とはならないということがあげられます。

どういうことかというと、「記述式の勉強は不要だ!」と唱える人の意見として「択一式の演問題習をしておけば記述式も記述できるようになるからだ!」という主張があります。「確かにそうかも(゚Д゚)!」と思える部分もありますが、本当にそうでしょうか?

これに対しては正直なところ、「それは理想論に近く、実際には難しいのでは?(-ω-;)」と感じています。

なぜならば、択一式はインプットであるけれど記述式はアウトプットだからです。

コンピューターであればメモリ(CPU)内で計算されたものと、実際にモニターに出力されたものの違いといっていいでしょう。メモリ内で計算されていても、モニターという出力装置に繋がなければ計算結果は表示されません。

そして、記述式の問題は目に見える形での”出力”を要求する問題です。つまりは、”モニターに繋ぐという作業”が要求されます。この ”モニターに繋ぐという作業”を習得するためには記述式の問題演習をするしかないのです。

反対に、択一式は選択肢を選ぶだけなので頭の中の計算(インプット)のみで解答できます。

インプットとアウトプット

よって、択一式の演習は記述式の演習とはなりえないと私は考えています。

まとめ

行政書士試験は、「法令の択一式」「記述式」「多肢選択式」「一般知識の択一式」と複数のセクションから成る試験です。これらセクションに捨てる部分は無い!と断言できます。

ただ、各セクションの力の入れ具合を調整することは必要です。やみくもに「多肢選択式」と「一般知識の択一式」をやたら多く勉強しても、むしろ合格から遠のきます。

そこで、具体的に優先順位をつけるとすれば、①「法令の択一式」②「記述式」③「一般知識の択一式」④「多肢選択式」の順番でしょう。自身の得意・不得意も考えながら、うまく勉強の比率を調整しましょう。

最後に、そもそも何かを捨てようという発想は「どこかで楽をしたい」「何か抜け道(ショートカット)はないか」という心理が働いているためです。

しかし残念ですが、行政書士試験は地道に勉強を重ね、ある一定以上の実力を備えた者だけを合格させる試験です。楽はできない、抜け道(ショートカット)など無い、と心得ましょう。

それらを心得て、地道に継続すれば、合格証書があなたの元へ必ず届くと思います。それまで頑張りましょう。

ファイト!

行政書士試験合格証