行政書士試験に限らず法律の勉強をしていると、わからない用語が出てきて手が止まってしまうことがあります。そのままスルーして勉強を続けるのもひとつの手ですが、わからないものをずっと放置しておくのは後の理解度に影響を及ぼすこともあります。
なぜならば、法律は数学と同じだからです。つまり、四則演算ができなければ微分積分が理解できないことと同じで、「意思表示」「善意」といった言葉の意味がわからなければ判例や法理論を理解することはできないためです。よって、わからない用語が出てきた場合はその都度調べて、意味を知り、理解をした方がいいです。
そこで、なるべくスムーズに法律用語を理解し、勉強がはかどるようにと法律用語集を作成してみました。参照していただければ幸いです。
今回は、「か行」のページになります。
注:条文を参照したい場合は、こちらをどうぞ→e-Govポータル https://elaws.e-gov.go.jp/
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か
概括主義(がいかつしゅぎ)
<行政不服審査法>
「役所がやってくることには何でも文句がいえるよ」ということ。
行政庁(役所)のする処分または不作為については審査請求をすることができます(行政不服審査法2条、3条)。これは基本、あらゆる処分または不作為に対して可能であり、このように縛りを設けず「自由に不服申し立てをしていいよ」というものが概括主義です。
ただし、一部適用が除外されるものもあります(行政不服審査法7条参照)。
会計検査院(かいけいけんさいん)
<憲法、会計検査院法>
国が無駄遣いをしていないかチェックする行政機関。憲法90条に定められています。
会計検査院は、国の無駄遣いを防止するための機関だから、当然、他の行政機関からの横やり(「そこんところ見逃してよー(;’∀’)」的な)を入れられないよう、独立した地位を会計検査院の検査官は与えられています(会計検査院法6~8条)。
なお、会計検査院の活動内容の詳細についてはこちらを参照してください。➪会計検査院ウェブサイト(https://www.jbaudit.go.jp/)
外国人の人権(がいこくじんのじんけん)
<憲法>
「外国人も国籍が違うだけで同じ人間、だから、日本人と同じく人権を保障しましょう」ということ。
「そもそも、外国人だからといって人権を保障しないのは人道に反する。だから、国など関係ない。」という考え方で、これは国がどうこう言う以前の問題であるとしています(前国家的性格を持つといわれます)。
また、憲法前文にて国際協調主義(世界は一家、人類みな兄弟)を標榜していますから、外国人の人権を保障するのは当然ともいえます。
ただ、物事によっては制限をかける場合もあります。一例を挙げると、例えば参政権です。参政権は国の在り方を国民の意思によって決めるものであり、そこに外国人の意思を交えるのは、間接的に内政干渉になるので制限されます。
ただし、地方公共団体の選挙権を与えることは違憲にはならないとされています(平成7年2月28日判例:裁判所ウェブサイト)。地方公共団体は、その地方の住民にとってためになる政治運営をすべきだから、対象となる住民は日本人とか外国人とかは問わないという考え方です。
また、憲法93条2項にて「地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」と規定しており、国民に限定していないことも根拠となります。
瑕疵(かし)
<民法>
欠点・欠陥のこと。
対象物に問題があることを、民法ではよく「瑕疵がある」と言います。例えば、手抜き工事によって建築され傾いてしまった建物は「瑕疵(欠陥)ある建物」となります。また、建物に抵当権が付されている(借金のかたになっている)場合も「瑕疵(欠点)ある不動産」とされます。
つまり、物理的なものだけでなく権利的なものも瑕疵となりうるというわけです。
ちなみに、「瑕疵」という漢字は難しいですが、よく使用されるし、記述式でも書かされる可能性の高い文言です。書けるようになりましょう。
過失(かしつ)
<民法>
【対義語】無過失
気付かずにミスを犯すこと。
例えば、鈴木さんが佐藤さんから土地を買ったが、実は、その土地は田中さんの土地だった場合、それは、鈴木さんに過失がある(気付かずにミスを犯している)ということになります※。
※土地の所有者は登記簿を確認すればわかるからね(;^ω^)。
そして、
「ちょっと、注意すれば気付いたよね」という場合は重過失。
「普通に注意すれば気付いたよね」という場合は過失。
「かなり注意しないと気付かないよね」という場合は軽過失。
となります。
過失相殺(かしつそうさい)
<民法>
「被害者側にもよくないところがあったから、その分おまけしてあげるよ」という制度。
例えば、Aさんが車を運転していたところBさんをひいてしまいケガを負わせ、Bさんから治療費100万円を請求されました。
しかし、Bさんがひかれたのは、Bさんが赤信号を無視して横断歩道を渡っていたのが要因の一つでもありました。
こういった場合において、「Bさんにもよくないところ(過失)があったから、その分20万円おまけ(相殺)して、Aさんの支払いは80万円でいいよ」という民法の制度になります。
※なお、過失相殺に関する記述式予想問題がこちら➪行政書士試験記述式の予想問題を作成してみたα7:予想問題五
仮装譲渡(かそうじょうと)
<民法>
ウソの取引。
例えば、鈴木さんが自分の所有している家を「おい佐藤、この家買ったことにしてくれよ」と言ってウソの取引を持ちかけました。
それに対して、佐藤さんは「オッケー、いいよ👍」と了承し、登記も移転してしまうような場合です。でも・・
なんでそんなことするの?(-ω-;)ウーン
と思うかもしれませんが、このようにするとメリットがあるのです。
それは、鈴木さんに借金があり、かつ、返済するお金がない場合、債権者は鈴木さんの財産の中から目ぼしいものに目をつけ、それに対して強制執行(裁判所を通して強引に取り上げる)を仕掛けることがあります。
そのような場合、家といった不動産は狙われやすいのです。そこで、ウソの取引で”自分の所有物では無い”とするために仮の譲渡を装うのです。そうすると家を取り上げられることはなくなります。
これが仮装譲渡です。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)
<民法、裁判所法>
【略称】家裁(かさい)
家庭内のもめごとの解決や、少年の非行に関する裁判を主に行う裁判所。
通常、(最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所の)裁判は公開されますが、家庭裁判所の審判は非公開で行われます。
その理由は、「家庭内の紛争を通常の訴訟の手続により審理すると,公開の法廷で夫婦,親子などの親族が争うことになりますし,法律的判断が中心になり,相互の感情的な対立が十分に解決されないままで終わるおそれもあります。」「少年に対しては,それにふさわしい非公開の手続で,再び非行に及ぶことのないよう教育的な働きかけを行った上で処分を決める方が適切なことが多い」※という部分にあります。
※裁判所ウェブサイト:https://www.courts.go.jp/about/sosiki/kakyusaibansyo/index.htmlより引用。
株式(かぶしき)
<会社法>
【略称】株(かぶ)
企業(株式会社)のオーナー権(券)。
「会社は誰のものー」
「しゃちょー(*^▽^*)」
ブーーーー✖
違います。会社は株式を保有する株主のものです。そして、株主のオーナーたる権利を証明するものが株式となります。
ちなみに、株式はかつて株券という紙でしたが、現在は電子化されデジタルデータになっています。
株式会社(かぶしきがいしゃ)
<会社法>
みんなからお金を集めて成り立った会社。
鈴木さんはある日、いいビジネスのアイデアを思いつきました。「これならば、絶対に儲かる!」と確信していた鈴木さんでしたが、会社を立ち上げるお金がありません。
そこで、1株1万円の株式を1000株発行したところ、見事1000万円の資金を集めることに成功しました。鈴木さんは、そのお金で会社を始めました。
このようにして成り立った会社のことを株式会社と言います。
そして、株式を買った人(株主)は、鈴木さんの会社が儲かった暁には、配当金(会社法453条)をもらったり、株価が上昇するなどの恩恵を受けられます。
過料(かりょう)
<地方自治法>
役所から課される制裁金。
本来成すべき義務を成さない場合に、「秩序に反する」として行政庁から課される金銭的な制裁になります(地方自治法14条3項、15条2項等)。
例えば、新たに不動産の所有権を取得した者は登記をしなければいけないのですが、これをしない場合には過料が課されます(不動産登記法36条、164条)。
慣習法(かんしゅうほう)
<民法、商法>
長い間やってきたやり方。そして、そのやり方が法律よりも優先するというもの。
例えば、A会社がB会社より商品を購入。通常であれば、代金の支払いと商品の発送は一緒に行う(同時履行:民法533条)ものだが、その業界内では「代金は商品が届いたのを見届けてから払えばいい」という、長い間やってきたやり方(慣習法)があったので、A会社は注文した商品が会社に到着してから代金の支払いをしました。というものになります。
これは、”取引は同時履行である”という法律(民法)の原則に外れることになるが、慣習法があるので、そっちが優先されたものになります。
そして、法律の条文においても「規定と異なる慣習がある場合において~は、その慣習に従う」(民法92条)、「法律に定めがない事項については商慣習に従い」(商法1条2項)と、慣習法の優先が明記されています。
き
・機関訴訟 ・棄却判決 ・寄託 ・寄託者 ・基本的人権 ・義務付け訴訟 ・却下判決 ・協議離婚 ・教示 ・行政機関 ・行政規則 ・行政事件訴訟 ・行政指導 ・行政調査 ・行政立法 ・許可 ・極度額 ・許認可
機関訴訟(きかんそしょう)
<行政事件訴訟法、地方自治法>
役所どおしで裁判をすること。
通常裁判と言えば、民間人どおしの民事訴訟か、行政機関と民間人の間の刑事訴訟および行政事件訴訟になります。しかし、行政機関どおしの裁判も存在します。それが機関訴訟です。これは、行政事件訴訟の一類型となります(下図参照)。
機関訴訟は、地方自治体の長と議会が対立し、もめた場合において、決着をつけるための最終手段として使われたりします(地方自治法176条7項)。
棄却判決(ききゃくはんけつ)
<民事訴訟法、行政事件訴訟法>
【関連用語】却下判決
「訴えて、議論して、戦ったけど、ダメでした(T_T)」という判決。
裁判は、原告が訴えを起こして被告と争い、裁判官が両者の意見を聞いた上で結論(判決)を言い渡します。
そして、裁判官が原告に対して「あなたの負けね(原告の訴えを退ける)」という結論を出した場合、その結論(判決)のことを棄却判決と言います。
※ちなみに、棄却判決と却下判決の違いについてはこちら。
寄託(きたく)
<民法、商法>
人に物を預けること、または、人の物を預かること。
「旅行に行くので、その間ペットを動物病院に預ける」とか、「バイクの置き場が無いので、他人の倉庫で保管させてもらう」というような契約となります(寄託契約:民法657条)。
そして、物を預ける側を寄託者(きたくしゃ)、物を預かる側を受寄者(じゅきしゃ)と呼びます。
寄託者(きたくしゃ)
寄託を参照。
基本的人権(きほんてきじんけん)
<憲法>
人が人であるために必要な権利。
この権利が認められなければ人は幸せな人生を歩めない。なので、国家はそれを認め、侵害してはいけないとされる権利になります。
日本国憲法では、自由権(好きにさせろー)、参政権(政治に参加させろー)、社会権(サポートしろー)といった基本的人権を規定しています。
義務付け訴訟(ぎむづけそしょう)
<行政事件訴訟法>
役所に対して「やることやれー(# ゚Д゚)/」と要求する訴訟。
行政庁がするべき処分をしない場合に、するように求める直接型義務付け訴訟(行政事件訴訟法3条6項1号)と、申請をしたのに返答や裁決がない場合に、返答や裁決を求める申請満足型義務付け訴訟(行政事件訴訟法3条6項2号)という2つパターンがあります。
却下判決(きゃっかはんけつ)
<民事訴訟法、行政事件訴訟法>
【関連用語】棄却判決
「訴えたけど、検討してもらえませんでした(T_T)」という判決。
裁判は、原告が訴えを起こして被告と争い、両者が意見を出し合い議論・検討(“審理”と言う)をします。
しかし、その審理を十分に行わず、原告に対して「あなたの言い分にはまっとうな理由が無いし、検討するまでもないから、あなたの負けね(原告の訴えを退ける)」と裁判所が判断することもあります。
このように、事前または途中で不要と判断され、審理されない判決のことを却下判決と言います。
ちなみに、却下判決は”門前払い判決”とも言われています。
※なお、却下判決と棄却判決の違いについてはこちら。
協議離婚(きょうぎりこん)
<民法>
夫婦が互いに、
夫:「別れよう」妻:「別れましょう」
と言い(別に言わなくても気持ちだけでもいい)、その合意によって成立する離婚。
いわば、一番シンプルな形態の離婚であり、協議離婚届(民法764条、739条1項)が提出されることによって成立します。
教示(きょうじ)
<行政不服審査法、行政事件訴訟法>
「この処分に文句がある場合はこちら➪」という感じでお知らせすること。
行政庁が、「この処分に対して審査請求や取消訴訟を起こされたら面倒だ!だから、いわれないかぎり黙っとこ(;’∀’)」とならないように、国民に対して「文句があるならば不服申し立てができるからね」と教えたり(行政不服審査法82条1項)、「訴訟をする場合はこうしてね」と教える(行政事件訴訟法46条1項)制度になります。
行政機関(ぎょうせいきかん)
<行政法全般>
役所とそこに所属する人々。
例えば、市役所と職員、警察署と警察官といった感じで、組織とそこにいる人たち、それらすべてをひっくるめて行政機関と呼びます。
行政規則(ぎょうせいきそく)
<憲法>
【関連用語】法規命令
行政内部のルール(規則)を定めたもの。
行政立法の一種で「行政機関の定立する定めで外部効果を有しないもの」と定義されています。
具体的には、内規(行政組織内部の規則)・通達・訓令等になります。
行政事件訴訟(ぎょうせいじけんそしょう)
<行政事件訴訟法>
役所が何かしたことで被害が生じた場合、または、生じそうな場合に、それらを回復・回避するために起こす裁判。
具体的には、国や地方公共団体の処分の取消を求めるたり(処分の取消訴訟)、申請をしたのに応答がないとして処分を求める(不作為の違法確認訴訟)等、複数の行政事件訴訟があります(下図参照)。
行政指導(ぎょうせいしどう)
<行政手続法>
国や地方公共団体が民間人に対して注意を与えること。
民間人(個人や法人)が、行き過ぎた行為をしている場合に行政機関から注意や勧告をすることです。行政手続法2条6号にて「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。」と定義されています。
具体的には、「マンションを建設する際は事前に近隣住民に対する説明会を開くよう注意する」とか、「金融機関のシステムエラーによって混乱が生じた場合に、金融機関に対して是正を勧告する」等、様々な行政指導があります。
ただ、行政指導はあくまでも相手方に任意の協力を求めるもの(行政手続法34条1項)であり法的拘束力は持ちません。強制しちゃダメよ(・´з`・)ということです。
行政調査(ぎょうせいちょうさ)
<行政法全般>
行政機関が目的を達成するために行う事前調査や情報収集。
この行政調査をよく使う行政機関は警察で、「不審者を見つける」という目的を達成するために行う職務質問(警察官職務執行法2条1項)や、「交通違反や犯罪を予防する」という目的を達成するために行う自動車の一斉検問(警察法2条1項)等があります。
行政立法(ぎょうせいりっぽう)
<憲法>
役所が法律を作ること。
法律は本来、国会によって定められる(憲法41条)のが大前提ですが、国会議員がこの世のすべてを把握しているわけはなく、また、議員の時間と労力と能力にも限界もあるので、ある程度は役所(行政機関)へと委託する必要があるます。そこで、行政機関の裁量で定めてしまうというものが行政立法となります。
ただ、すべてを丸投げというのは当然ダメです。国民によって選ばれた国会議員が法律を作らなければ民主主義の根幹が揺らぎます。あくまでも、行政機関(現場)でなければわからない専門的・技術的な領域においてのみ行政立法を認めるのが基本スタンスになります。
なお、行政立法の種類には法規命令(その内容は執行命令と委任命令)と行政規則があります。
許可(きょか)
<行政手続法>
「基本ダメだけど、君ならオッケー👌」と役所が言うこと。もしくは、役所に言ってもらえること。
本来禁止(ダメ)とされていることを解放(オッケー)することとされています。例えば、自動車を所有していても運転免許証を取得していなければ公道で運転することは禁止されます(道路交通法64条1項)。ですが、運転免許証を取得すれば、その禁止は解放され、公道での運転が可能になるというものが許可です。
なお、認可や免許と合わせて「許認可等」(行政手続法2条3号)と呼ばれます。
極度額(きょくどがく)
根抵当権を参照。
許認可(きょにんか)
許可を参照。
く
・訓令
訓令(くんれい)
<国家行政組織法>
役所における上司命令。
行政組織内における、上級行政庁から下級行政庁に下す命令のことで、国家行政組織法14条2項に規定されています。
け
刑事訴訟(けいじそしょう)
<刑事訴訟法>
【関連用語】民事訴訟
犯罪者を裁くための裁判。もしくは、本当に犯罪(者)だったのかを判断する裁判。
人の物を盗んだ者は窃盗(刑法235条)の罪となり犯罪者となります。このような犯罪者に対して裁き(刑罰)を与えるか否か、または、「本当に窃盗をしたのか?」ということを判断する訴訟になります。
係属(けいぞく)
<民事訴訟法>
絶賛裁判中!ということ。
被告と原告(両当事者)による裁判の審理が行われている状態を指し、被告に訴状が送達されたとき(民事訴訟法138条)がそのスタートとされています。
契約(けいやく)
<民法>
お互いの約束。
お互いの条件がかみ合えば成立。契約書を交わすなど書面(電子書面も含む)でなされるのが通常ですが、単なる口約束でも成立します。
要は、互いの意思の合致(合意)さえあればいいということです。
権原(けんげん、けんばら)
<民法>
権利の源(みなもと)。
「こういったことができるのは、こういった権原(権利に基づく源)があるからだよ。」ということであり、権原は、所有権・地上権・抵当権等、多岐にわたります。
例えば、どこかに土地があれば勝手に建物を建てることができるわけではなく、実際、土地に建物を建てるためには所有権や地上権といった、建物を建てるための権利の源(いわば正当性)が必要となります。
その正当性が権原ということになります。
原告(げんこく)
<民事訴訟法、行政事件訴訟法>
【対義語】被告
裁判所に訴えを起こした人(または組織)。
行政事件訴訟では、「原告は国民」「被告は行政機関」という形が基本的になります。ですが、行政機関同士の訴訟である機関訴訟(行政事件訴訟法6条)では「行政機関も原告」になります。
検索の抗弁(けんさくのこうべん)
<民法>
【関連用語】催告の抗弁
「あいつ絶対金持ってるから、ちゃんと調べてみて!」と保証人が言うこと。
鈴木さんが佐藤さんから100万円を借り、その保証人に田中さんがなっているような保証契約において、鈴木さんが返済をしませんでした。
そこで佐藤さんは田中さんに「代わりに払ってよ」と言います。
すると田中さんは「いや、先に鈴木に請求してみてよ」(催告の抗弁:民法452条)と言いました。そこで佐藤さんは鈴木さんに請求をします。
しかし、鈴木さんは「お金ないよ」と言って一向に返済をしません。
そこで佐藤さんは再度、田中さんに請求をします。すると、田中さんはこう返します。
「いやいや、あいつ絶対金持ってるよ。良く調べてみて!」
このように、保証人が主たる債務者の財産状況をよく調べるように主張できる権利が検索の抗弁(民法453条)になります。
原処分主義(げんしょぶんしゅぎ)
<行政事件訴訟法>
「処分の取消訴訟をする場合には、元々はどういうことだったのか、それをハッキリさせなさい!」という行政事件訴訟の原則。
どういうことかというと、公務員Aが懲戒(クビ)処分を受けました。Aはクビにされたことが納得いきません。
そこでAは審査請求をしました。その結果クビは免れましたが・・
審査庁:「クビにはしないけど給料は減らす(減給処分)ね」
という裁決を受けてしまいました。
これにも納得できないAは、今度は処分の取消訴訟を起こします。
A:「ちょっと、給料減らされるなんて聞いてないよー(# ゚Д゚)/取り消せー!」
と主張します。すると、
裁判所:「処分の取消訴訟を起こすなら、減給処分じゃなくて、元々の原因である懲戒処分に対して文句をいってね。」
と注意を受けました。
つまりAは、「懲戒処分自体がおかしい。取り消せー!」というべきで、元々はどういうことだったのか、それをハッキリさせなさいとしたのです。
※上記事例の詳細は昭和62年4月21日判例(裁判所ウェブサイト)を参照。
このように、”処分の取消訴訟は処分に対して”、”裁決の取消訴訟は裁決に対して”と、ちゃんと使い分けるように要求する原則が原処分主義となります。
こ
硬性憲法(こうせいけんぽう)
<憲法>
【対義語】軟性憲法
簡単には変えられない憲法。
法律を変化させるよりより、憲法を変化させることの方がハードルが高い憲法になります。
そして、日本国憲法はまさに硬性憲法です。法律は議会の半分以上の賛成で成立しますが(憲法56条2項)、憲法の改正には3分の2以上の賛成が必要になります(憲法96条1項)。
硬性憲法は変えにくいので、憲法が持つ”絶対的価値”をキープしやすいのですが、時代の変化に対応しづらいという弱点をもちます。
口頭弁論(こうとうべんろん)
<民事訴訟法>
裁判官が参加者の主張を聞くこと。さらに言えば、主張を聞いた裁判官はそれをもとに判断をすること。
主張は口頭が原則ですが、準備書面と呼ばれる予め提出された書面に主張を述べ、裁判のときに「準備書面の通りです」と言えば、それが裁判で主張したことになります。
ちなみに、「口頭弁論」は民事訴訟における呼び方で、刑事訴訟になると「公判」と呼ばれます。
公表(こうひょう)
<行政法全般>
「こいつ悪いことやってまっせー」と、世の中にばらすこと。
”役所が課した義務を履行しない”とか、”行政指導に従わない”といった場合に、その事実を世の中に発表するという役所による制裁の一種となります。
この公表を受けた人(または法人)は、世の中から後ろ指をさされ、結構気まずいことになるため、結局は従わざる得ないという効果を生みます。
公法(こうほう)
<憲法>
【関連用語】私法
国家機関と一般人との関係性を決めている法律。
国民(一般人)に対してどのような義務を課すのか、または、どのような権利を認めるのか。その関係を調整する法律が公法とされています。基本的には、強い国家機関に対して弱い国民を守るための縛り(規定)を設けるものが多いです。
憲法、刑法、行政手続法や行政不服審査法等の行政法全般、民事訴訟法や刑事訴訟法などが公法とされています。
ちなみに、民法など一般人通しの関係を調整する法律は私法と呼ばれます。
国民審査(こくみんしんさ)
<憲法>
「みんな、この裁判官で大丈夫かな?」ということを国民に問う制度。
憲法79条2項に定められている制度で、10年間最高裁判所の裁判官を務めた人が、”ちゃんとした仕事をしたか”を国民に評価してもらい、評価が低ければ罷免(クビ)にするという制度になります。
なぜこのような制度があるかというと、裁判官の独立を守るためです。
「三権分立の観点から、内閣や国会が裁判官をクビにすることはできないから、その代わりに国民がチェックしてね♡」
ということです。
国務大臣(こくむだいじん)
<憲法、内閣法>
内閣を構成するメンバーで、国の運営をする人たち。
内閣総理大臣から指名され(憲法68条1項)、総理大臣の手足となって国の運営の仕事をします。いわゆる、総務大臣とか法務大臣とか呼ばれている人たちです。
そして、その数は最大17名以内とされています(内閣法2条2項)。
国会(こっかい)
<憲法>
国の法律を作る機関。
メンバーは選挙により選ばれた議員たちで、衆議院と参議院という両院を構成し、話し合いで法律を作っていきます。
国会は選挙により選ばれた議員たちの集まりだから、国民の信任を得ているということで、「国の唯一の立法機関」(憲法41条)として、立法権が与えられています。