行政書士試験に限らず法律の勉強をしていると、わからない用語が出てきて手が止まってしまうことがあります。そのままスルーして勉強を続けるのもひとつの手ですが、わからないものをずっと放置しておくのは後の理解度に影響を及ぼすこともあります。
なぜならば、法律は数学と同じだからです。つまり、四則演算ができなければ微分積分が理解できないことと同じで、「意思表示」「善意」といった言葉の意味がわからなければ判例や法理論を理解することはできないためです。よって、わからない用語が出てきた場合はその都度調べて、意味を知り、理解をした方がいいです。
そこで、なるべくスムーズに法律用語を理解し、勉強がはかどるようにと法律用語集を作成してみました。参照していただければ幸いです。
今回は、「ら行」のページになります。
注:条文を参照したい場合は、こちらをどうぞ→e-Govポータル https://elaws.e-gov.go.jp/
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ら
・濫用
濫用(らんよう)
<民法>
やりすぎ。
代表的なのは、権利の濫用のように法律上認められている権利を振りかざし、やりすぎてしまう場合に使われる言葉です。
り
履行(りこう)
<民法>
お金を払ったり、売った物を渡したりすること。
意味としては弁済と同じになります。
履行遅滞(りこうちたい)
<民法>
履行すべき時にしないこと。
例えば、鈴木さんが佐藤さんからお金を借りており、佐藤さんから「7月10日までに返してね」と言われていたのに、7月11日になってもお金を返さない場合。
離婚(りこん)
<民法>
夫婦の関係を解消する(やめる)こと。
夫と妻の2人が同意して離婚届を提出すれば成立(協議離婚)しますが、中には、裁判の判決により離婚する場合などもあります。
立憲主義(りっけんしゅぎ)
<憲法>
「憲法で国を治めて、みんなの自由と権利を守りましょう。」という考え方。
憲法で国を統治するだけではなく、個人の権利と自由が保障されなければいけないとされているのがポイント。
立候補の自由(りっこうほのじゆう)
<憲法、公職選挙法>
「誰でも、選挙に出ていいよ( ´∀` )」という自由。
「選挙に出て、当選して、政治家になって、日本を変えるんだーー!」という人間を自由に選挙に出させてあげることは民主主義の根幹ですから、憲法でこの自由が保障されています。
しかし、”誰でも”とは言いつつも、実は年齢制限等があったりします(公職選挙法10条参照)。
立法(りっぽう)
<憲法>
法律を作ること。
当然、誰でも法律を作れるわけではなく、その権利は主に※国会にあります(憲法41条)。
※立法権を参照。
立法権(りっぽうけん)
<憲法>
法律を作ることができる権利。
「国会は~唯一の立法機関である。」(憲法41条)としていますので、”日本で立法権があるのは国会のみ”ということになります。
しかし実際には、行政立法、内閣による政令、地方自治による条例の制定など、法律に準ずるものが国会以外で作られています。
留置権(りゅうちけん)
<民法>
【関連用語】同時履行の抗弁権
「おまえが渡さないなら、俺も渡さない!」という権利。
例えば、鈴木さんが所有する土地を佐藤さんに売却したが、佐藤さんは土地の代金を払わず、さらに、その土地を田中さんへ売ってしまった。
そして、田中さんは土地の明け渡しを鈴木さんに求めたが、
「佐藤さんが金を払わないから、あなた(田中さん)に土地を渡さないよ。」
と言える権利になります。
※ちなみに、留置権と同時履行の抗弁権の違いについてはこちら。
臨時会(りんじかい)
<憲法、地方自治法>
「いますぐ議会を開いて議論しないと(;’∀’)」という時に開かれる議会。
国の政治においては、常会(通常国会)以外に必要があれば開かれ(憲法53条)、地方自治においては、定例会(決められた回数で開かれる議会)以外に必要があれば開かれます(地方自治法102条)。
る
・類推適用
類推適用(るいすいてきよう)
<法律全般>
法律をふくらまして考えること。
例えば、「危険物の所持は禁止する」という法律があった場合、「危険物って何だ?」となります。そこで、
「銃、火薬、刀などは危険だよね。だから、それらを危険物としましょう。」
というように、法律の文言に書かれていなくても、そこから、ふくらまして考えることになります。
れ
連帯債務(れんたいさいむ)
<民法>
「みんな一緒の借金仲間だよ( ´∀` )」ということ。
田中さんと佐藤さんの2人で、鈴木さんから200万円を借り、それを連帯債務とした場合があるとします。
この場合、「田中さんと佐藤さんで100万円ずつ返せばいいんだよね。」または、「田中さんが50万円返して、残り150万円を佐藤さんが返してもいいかな。」なんて考えてはいけません。
実は、田中さんも佐藤さんも200万円返す義務があります。
もちろん、田中さんと佐藤さんのどちらかが200万円返済すれば債務は消えますが、このように、連帯債務を負っている人たちは一緒に、全額返済という義務を負う仲間になります。
これが、分割債務(民法427条)とは異なる連帯債務の特徴になります。
連帯債務者(れんたいさいむしゃ)
連帯債務を負っている人たち。
連帯保証(れんたいほしょう)
<民法>
保証契約の強化バージョン。
どのように強化されているかというと、通常の保証契約から催告の抗弁(民法452条)と検索の抗弁(民法453条)を外すというバージョンアップがなされています。
こうすると、債権者は保証人にダイレクトに請求をすることができて、より確実に債権を回収できる保証契約の強化バージョンになるわけです。
連帯保証人(れんたいほしょうにん)
<民法>
ろ
労働組合(ろうどうくみあい)
<憲法、労働組合法>
同じ会社で働く者どおしで集まり、結成した団体。
「みんなで集まってどうするの?」と思われるかもしれないですが、これにより雇い主(経営陣)に対抗するのです。
通常、労働者は経営陣に対して弱い立場にあります。なので、安い賃金で働かされたり、酷い労働環境で働かされたりしやすいです。そこで、労働組合を結成し「賃金上げろー」「労働環境を改善しろー」と訴えるのです。
そのため、労働組合が経営陣に対抗できるよう、憲法28条で労働三権が保証され、労働組合法が制定されています。
論点(ろんてん)
<法律全般>
対立している意見や考え方。
今ある法律に対して、「どう解釈するのか?」といった場合に、様々な解釈が出ているため意見の対立が起きることがあります。
例えば、憲法26条2項後段では「義務教育は、これを無償とする。」としています。
すると、「でもこれって、授業料がタダなの?授業料だけじゃなくて制服代や文房具代も含むの?」といった疑問点がわきます。
それに対して、学者Aは「授業料だけタダだよ( ´∀` )」と言い、一方、学者Bは「何言ってんだよ(# ゚Д゚)/制服代や文房具代も含むでしょう!」といった具合です。
このように対立している意見や考え方を論点と呼びます。