世の中には、「○○士」と呼ばれる職業が多くあります。そういった方々が、「行政書士資格と掛け合わせたら結構仕事の幅が広がるよなあ🤔」と思えるものがあります。
そして、そういった方々に是非とも”行政書士試験を受験していただき、合格して、行政書士資格を取得をして欲しい!”と考え記事にしました。
行政書士の有資格者は、他の士業の資格を有するダブルライセンス・トリプルライセンスの方々が多くいます。そうすることで業務の幅が広がり稼ぎやすくなるからです。
これの裏を返せば、「他士業の有資格者は、積極的に行政書士資格を取得するのがよい!」ということでもあります。
そして、行政書士資格の取得メリットがある士業は、以下の5つの士業となります。
1.宅建士
2.中小企業診断士
3.社会保険労務士
4.土地家屋調査士
5.司法書士
これらの士業の方々が、行政書士資格を取得すべきメリットを以下に述べていきます。
参考にしてね
※ちなみに、行政書士試験の概要は以下の通りです。
※毎年11月の第2週に実施される年1回の国家資格試験。全60問で、問1から問43までの法令科目問題で5割以上、かつ、問47から問60の一般知識問題で4割以上の得点をマークし、そのうえで、300満点中の6割である180点以上を取れば合格である。
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宅建士
宅建士試験に合格すると、よく資格試験予備校などの売り込みで「次は、行政書士試験に挑戦しましょう!」などと言われます。
これは、決して”資格試験予備校のセールストーク”だからというわけではなく、実際に、宅建士資格と行政書士資格の相性の良さから、そのような売り込みがなされています。
では、その相性の良さとはなになのか?
以下に説明していきます。
行政書士資格取得のメリット
宅建士の資格は、不動産会社で働く場合において必須ともいえる資格ですが、これに行政書士資格を組み合わせるとかなり強力になります。
どのように強力になるかというと、
不動産会社から給与を貰う立場から報酬を貰う立場に変われる
という点で強力になります。
どういうことかというと、不動産業界は大きなお金が動く業界なので、その中で働いている不動産会社の社員たちの給与水準は高めの所が多いです。
しかし、社員として給与を貰うよりも、さらに、多くのお金を不動産業界から得られる方法があるということです。
それが、不動産業界からギャランティー(報酬)を得る方法です。
そして、行政書士として不動産業界と付き合えば、不動産業界から給与よりも多くの報酬を得られる可能性が出てきます。
具体的には、宅建業の登録(不動産屋を始めるために役所に提出する申請)および農地転用許可申請などです。
これらの手続代行は行政書士の鉄板業務であり、かつ、報酬が高めです。ゆえに、不動産業界に勤めて給与を貰うよりも多くのお金を掴める可能性があります。
また、宅建士の有資格者が行政書士業務を行った場合には仕事を得やすいという部分もあります。
なぜならば、宅建士の資格を持つ人は不動産会社に勤めている。または、勤めていた。などの”不動産業界との結びつきが強い人が多い”からです。
ゆえに、現在・過去の仕事の付き合いやコネで仕事を掴むことができ、行政書士として順調に稼げるようになりやすいのです。
まさに、行政書士と宅建士は相性ピッタリの資格といえるでしょう。
取得までの勉強期間
では、宅建士試験に合格された方が行政書士試験に合格するためには、どれくらいの期間の勉強が必要になるでしょう。
努力次第ですが、宅建士試験合格者ですから1年~2年といったところでしょう。人によってはもっとかかるかもしれません。
例年、宅建士試験は10月に行われ、行政書士試験は11月に行われますが、同年に立て続けて受験するのは無謀ですので、宅建士試験を受験した翌年の行政書士試験を受験し合格するという約1年が最短ルートというわけです。
宅建士試験でも民法は学習しますが、行政書士試験では民法の記述式問題もあり、より深く民法を理解して勉強することになります。
そして、その他の科目として憲法・行政法・会社法・一般知識問題と勉強する幅が広くなります。
つまりは、かなり大変!になるということだね
宅建士試験は資格の勉強でしたが、行政書士試験となると法学の領域に入ってくるのです。
なので、短期での合格を目指す方は、その点を覚悟し、資格試験予備校を利用するなどして効率的に学習をすすめましょう。
中小企業診断士
中小企業診断士は、その名の通り中小企業などの会社のコンサルを行い。その会社を発展させるという良い資格であり、お仕事です。
中小企業診断士資格のみで食えているという人も多くいます。
行政書士資格取得のメリット
しかしながら、中小企業診断士は非常に良い資格で仕事ではありますが、一つだけ難点が存在します。それが・・
独占業務を持たない
という部分です。
これは、せっかく会社の社長さんにコンサルなどを行っても具体的な手続を請け負うことができないということになります。
例えば、社長さんが新しく事業を始めたいと言ったとしても、中小企業診断士では会社設立の手続ができません。また、行政機関への事業補助金や給付金の申請などの手続も請け負うことができません。
しかし、行政書士資格を取得すれば、これらの手続を請け負うことができ、一気通貫に業務を完遂させることができます。
これが、中小企業診断士が行政書士資格を取得するメリットです。
取得までの勉強期間
中小企業診断士試験では、財務や経営の勉強が主ですが、行政書士試験では法律の勉強となります。
なので、結構趣が異なる勉強とはなりますが、中小企業診断士試験自体が難関試験ですので、このような試験をくぐり抜けてきたポテンシャルを考えれば1~2年程度で合格できるでしょう。
社会保険労務士
社会保険労務士は企業の労務・社会保険関係を担うため、非常に需要のある資格であり、当然それだけで食っていける資格です。
しかし、社会保険労務士業務のみでなく、行政書士資格を組み合わせれば、さらに大きな事業拡大を狙うことができます。
行政書士資格取得のメリット
昔から行政書士資格と社会保険労務士資格は相性がよく、”鉄板のダブルライセンス”とされています。実際に、この組み合わせで仕事されている先生方は多いです。
その理由は、入口を行政書士資格が担い、その後を社会保険労務士資格が担うという形になるからです。
例を挙げれば、行政書士として会社設立等のスタートアップ業務を担ったとします。その後、設立した会社が成長し従業員が増えました。
そうなれば当然、労務関係の専門家が必要となる。つまりは、社会保険労務士が必要となるというわけです。
このように、入口を行政書士資格で掴み、その後のフォローを社会保険労務士資格でする。という流れ(形)を作れるということです。
これは強力だね
ゆえに、行政書士資格と社会保険労務士資格は常に相思相愛の関係♡です。
取得までの勉強期間
半年から1年半ぐらいになります。
社会保険労務士試験に合格した方で、大学の法学部等を出ている、または、法律の勉強の経験があるような方、つまりは、憲法・民法等の基礎法学が身についてる方は短期で、そうでない方でも、社会保険労務士試験という難関をくぐり抜けてきたポテンシャルがあるのですから、3年・4年とかかることは無いでしょう。
土地家屋調査士
土地家屋調査士の場合、正直、一番相性のいい資格は司法書士でしょう。なぜならば、司法書士との組み合わせで不動産登記に関しては完璧なものとなるからです。
しかし、司法書士試験はかなりの難関であり、土地家屋調査士の方でも容易なものではありません。
そこで次善の策として、司法書士よりは取りやすい行政書士資格というわけです。
行政書士資格取得のメリット
では、土地家屋調査士にとって行政書士資格取得の最大のメリットとは何でしょうか?
それは・・
農地転用に役立つ‼
これに尽きます!
農地転用は昔から存在する鉄板の業務であり、「農転申請は行政書士、転用した土地の登記は土地家屋調査士が行う。」という鉄板のルートが出来上がっています。これを行政書士資格取得で一気通貫にできる効果は強いです。
農転の機会が多い土地家屋調査士の先生は、是非とも行政書士資格を取得しましょう。
また、土地家屋調査士業務と離れて、申請などの行政書士業務をサイドビジネス的に行うのも悪くはないと思います。
取得までの勉強期間
半年から1年半ぐらいでしょう。
土地家屋調査士試験には民法が含まれており、また、土地家屋調査士の先生方の中には司法書士試験の勉強経験がある方などもおられ、基礎法学が高いレベルで身についています。
ゆえに、多くの時間はかからないかと思われます。
司法書士
司法書士は、登記のスペシャリストであり、簡易裁判の代理も行える法律のスペシャリストなので、司法書士の資格1本で十二分な資格です。
つまり、基本的に行政書士資格など必要がないのです。
行政書士資格取得のメリット
しかしながら、「さらに業務の幅を広げ、もっと稼ぎたい!」と考えている司法書士の先生であれば行政書士資格の取得は良い選択となるはずです。
それは、これまで手が伸びなかった申請(行政手続)の領域まで手が伸びるようになるためです。
具体的には、司法書士の先生方は不動産登記を扱っているような方々が多くいるでしょう。中には、不動産会社と提携し登記手続を承っている先生方も多くおられるでしょう。
そういう中で、もし提携している不動産会社が新しく不動産仲介業(宅建業)の店舗を増やすとします。その場合、「宅建業の登録申請もしましょうか?」と言えます。
また、不動産の登記だけでなく農地転用がからむ場合なども「農転申請もしましょうか?」とも言えます。
つまりは、不動産関係などにおいては登記だけでなく、行政書士が行っている業務が絡む可能性が大であり、それらを漏らさずに掴むことができるということです。
さらに、在留許可申請などの司法書士業務では関わることがないであろう未知の領域の開拓もできます。
行政書士業というのは、いわゆるスキマ産業で、あらゆる士業の隙間を埋めます。ゆえに、行政書士資格を取得すると、司法書士業で専門特化しつつも”その他の隙間を埋めることができる”という効果を生み出すのです。
これが
⇩
こうなる
「手広く網羅したい」と考えている司法書士の先生にとっては、”行政書士資格はうってつけ”というわけです。
取得までの勉強期間
司法書士試験と行政書士試験は、憲法・民法・商法が科目として被っており、かつ、司法書士試験の方がそれらの難易度が高いため3ヶ月から半年の短期で合格できるでしょう。
司法書士の先生は民法・商法のスペシャリストなので、無勉とまでは言いませんが、それらの科目に対して特に対策の必要がないということです。
しかし、1つだけ必要となることがあります。それが、司法書士試験では勉強してこなかった
行政法の勉強
になります。
この行政法の習得と、行政書士試験の感じを掴む期間が3ヶ月から半年というわけです。
番外編:薬剤師
ここで、番外編としてもう一つ行政書士資格と相性の良い資格を紹介します。これは、”士業”ではなく”師業”になりますが・・
薬剤師
です。
行政書士資格取得のメリット
「薬剤師!」「なんで?」と思われるかもしれませんが、実はこれが行政書士資格との相性が非常に良いのです。
なぜかというと、薬事法関連の許認可にとって有利だからです。
「薬事法関連の許認可って?」と思われるでしょうから説明します。
例えば、
ある大手ドラッグストアストアチェーンの会社が、街道沿いに新たな店舗のオープンを予定していた。そして、新しいドラッグストアの店舗を開くには、「薬局の開設許可」を役所から取得する必要がある。そこで、行政書士に許可の申請を依頼した。
というお仕事です。
そして当然ながら、このような行政書士業務においては薬剤師の有資格者のほうが専門的で有利なのはいうまでもありません。
さらに、前述した「薬局の開設許可」は行政書士業務の中でも報酬が高額(具体的には、1申請で50万円以上!が相場)です。
このような仕事を、薬剤師の有資格者であれば優先取得できる可能性が高いのです。
さらに言えば、”既存の行政書士が薬剤師の有資格者になるのはほぼ非現実的(不可能)”※であるためライバルも少なく無双できます。
※なぜかというと、薬剤師になるためには薬科大学を卒業する必要がありますが、既存の行政書士は中高年が多く、わざわざ薬科大に入学して薬剤師の有資格者になるなどありえません。つまりは、薬剤師から行政書士はあり得るがその逆は無いということです。
薬剤師の方は薬局などに勤務するサラリーマンの方が多いかと思われますが、もし、「副業して、もっと稼ぎたい!」とか、「自分で事業を始めてみたい!」と考えている方がおられれば行政書士資格取得は一つの手です。
取得までの勉強期間
薬剤師になるためしてきた勉強と、行政書士になるための勉強とでは、全く違うでしょうし、薬剤師の方は「これまで法律の勉強などしたことがない!」という方も多数でしょう。
しかし、薬剤師という難関資格を取得しているポテンシャルに期待して1年から2年で合格レベルに達することができるのではないでしょうか。
行政書士資格は業務の幅を広げる良いトッピング
以上が、行政書士資格を取ると良い士業5選プラス1師業ということになります。
総じていえば、どの士業(師業)にとっても”行政書士資格は良いトッピング”になるということです※。
※実際に、行政書士試験に合格していなくとも、その資格だけで行政書士として登録できる税理士は、わざわざ行政書士会への会費を支払い、行政書士として登録している税理士が多くいます。
そもそも、行政書士資格は専門特化した各士業の隙間を埋めるような資格ですから、これは当然と言えば当然です。要は使い勝手の良い資格ということです。
そして、専門特化した士業の先生方が、行政書士資格で業務の隙間を埋めることができれば、大きな効果を生むことに間違いはないのです。
なので・・
是非とも行政書士試験に挑戦してくださいね!
ということになります。